最近、ベンチャー企業やスタートアップの話題で頻出するワードの一つに「エンジェル投資家」という言葉があります。この記事では、「エンジェル投資家とは何か?」という基本から、有名な日本人投資家の例、さらには投資家が企業に投資をするメリット・デメリットまでをわかりやすく解説します。
エンジェル投資家とは?
エンジェル投資家とは、起業間もない企業やスタートアップに対して、自己資金で出資を行う個人投資家のことです。会社員や起業家が資金を集める際、銀行融資が難しい段階で資金援助をしてくれる「天使」のような存在であるため、このような名称がつきました。
主に、企業の初期段階(シードやアーリー)で出資することが多く、経済的支援だけでなく、事業に対する助言や人脈の紹介など、さまざまなサポートを提供してくれます。
出資の目的・理由
エンジェル投資家が出資する主な目的は、リターンの獲得です。もし支援した企業が大きく成長して上場や売却を果たせば、出資額の何倍もの利益が見込めます。
しかし、出資の理由はそれだけではなく「勢いある世代の育成」や「社会貢献」、「業界発展への後押し」といった理由から投資を行う人もいます。
エンジェル投資家に有名人はいる?
エンジェル投資家とは誰でもなれるものではありませんが、資金力と経験、そして業界への理解があれば、個人でも活動が可能です。日本でもここ数年、著名な投資家が増えてきました。
青柳直樹(あおやぎ なおき)
メルカリの執行役員、クラウドワークスの社外取締役、そしてメルペイの代表取締役の3つの肩書を持ち、大活躍している実業家。慶應義塾大学を卒業後、ドイツ銀行へ入社し、2006年からスマホゲームで人気を博したグリーに就職。現在は複数のべンチャー企業に出資し、鋭いビジネス感覚と金融知識を武器に、複数のスタートアップに出資・顧問として関わっています。
本田圭佑(ほんだ けいすけ)
元サッカー日本代表でありながら、ビジネス界でも異彩を放つ存在。教育・スポーツ・テクノロジー分野のスタートアップに数多く投資しており、自らファンド「KSK ANGEL FUND」も設立。これまでに投資したスタートアップの実績は50社以上に及び、出資先も分野問わず行っています。投資先の企業の理念や社会貢献性を重視する姿勢が特徴的。
前澤友作(まえざわ ゆうさく)
ZOZOTOWN創業者であり、日本を代表する実業家。売却後は個人の資産を活用し、起業支援を含む多様な社会貢献活動に取り組んでいます。SNSを通じて「お金配りをする」という話題を呼びました。最近では、「前澤ファウンド」を立ち上げ、民間宇宙旅行やアート支援など、独自の視点から事業支援を行うエンジェル投資家としても知られています。
こうした投資家たちは、資金だけでなく自らの経験や人脈を活かし、スタートアップの飛躍を後押ししています。
どんな人がエンジェル投資家になるの?
エンジェル投資家とは、必ずしも「金融のプロ」や「IT起業家」である必要はありませんが、以下のような経歴の方が多い傾向にあります:
- 企業の創業者・経営者として成功した人
- 上場企業の元役員や役職者
- 弁護士や会計士などの士業
- 芸能人・インフルエンサー(副業的に活動)
重要なのは、「資金的余裕があること」と「リスクを理解した上で行動できること」です。最近では、副業や資産運用の一環として、エンジェル投資を始める個人も増えてきています。
エンジェル投資家のメリット・デメリット
エンジェル投資家がスタートアップ企業に投資をするメリットとデメリット、さらにスタートアップ企業が投資を受ける側のメリットとデメリットを合わせて紹介します。
メリット
エンジェル投資家とは、企業にとって以下のようなメリットを提供してくれます。
- 早期にまとまった資金を得られる
- 経営経験者からの助言を受けられる
- 大企業との橋渡しやメディア露出に繋がる
一方、投資家自身も「高いリターン」「社会貢献」「成長ビジネスへの関与」といった利点を享受できます。誰も興味を持たなかったような新興分野でも、独自のサービスや画期的なUX設計が注目され、投資対象となることも増えています。
デメリット
ただし、エンジェル投資には以下のようなリスクもあります。
- 投資先が失敗する可能性が高い(スタートアップの約半数以上は数年以内に撤退)
- 現金化までに長期間を要する(株式非上場の場合)
- 投資判断には業界知識が求められる
また、企業側も「資本比率が変わる」「経営の自由度が制限される」といった悩みを抱えるケースがあります。お互いの信頼関係が極めて重要です。
まとめ
エンジェル投資家とは、資金と経験を持ち、次世代のビジネスを始めようとするチャレンジャーたちを支援する存在です。彼らの出資によって、数々の革新的なサービスや企業が誕生してきました。
日本でも様々な先進的なエンジェル投資家が、起業家たちの背中を押しています。どんな業界であっても、チャレンジを恐れず実現化する人を陰で支え続けるエンジェルのような存在が必要不可欠です。